クレヨンを渡しても、握り直してばかり。紙を押さえるほうに気を取られて、あまり描かない。そんなときは、持ち方を教える前に、道具と置き方を一つずつ見直してみませんか。
初めてのお絵描きでは、何かの形を描かせるより、手を動かすと紙に色がつくことを試せる用意から始められます。英国の公的医療機関NHSの家庭向け案内でも、描画具の持ち方は時間とともに変化すると説明しています。[1]
私たちIMANO MANABI(イマノマナビ)からは、クレヨンの太さ・形だけでなく、紙の動きやすさまで含めた比べ方をご提案します。ここからの用意の仕方は家庭で試す一案です。使用する製品の対象年齢と注意事項を先に確かめてください。
太さは、握ったまま紙に触れられるかで比べます
太いクレヨンは選択肢の一つですが、太ければどのお子さまにも合うとは限りません。持てる太さと、動かしやすい太さを一緒に見ます。
見るのは、持ち上げたあとに何度も取り落としていないか、指を大きく開いたまま持ちにくそうにしていないか、紙まで先を運べるかです。片手で持ったり、持つ位置を変えたりしていても、すぐに直す必要はありません。
比較できる道具が家にあるなら、同じ紙で一本ずつ試します。太さと形、紙まで同時に変えると、何が使いやすかったか分かりにくくなるためです。新しく何種類も買いそろえず、まずは手持ちの一本を使う様子を見るところから始めましょう。
長さも確認します。長い軸が手や机に引っかかることがあっても、短くするために折って渡すのは避けます。細かな破片を作らず、その製品の使い方に沿って扱えるものを選びます。
形は、指が触れるところと紙に当たるところを見ます
形の違いは、持つ感触や紙への当て方を比べる手がかりになります。「正しい持ち方になる形」を先に決めなくてかまいません。
- 丸い軸の棒状:握る位置や向きを変えて使えます。机の上で転がる場合は、使っていないものの置き場を決めます。
- 三角や四角の軸:指が平らな面に触れます。持ったときに角が気にならないか、握り直しやすいかを見ます。
- かたまり状や持ち手のある形:手で包む、突起を持つなど、製品により持ち方が違います。どの部分で描く設計かを説明で確認します。
どの形でも、先や面が紙に触れなければ色はつきません。持てているのに描けない場合は、大人が別のクレヨンで紙への当て方をゆっくり見せます。手をつかんで同じ持ち方に直し続けるより、まずはその一本で色がつくところを一緒に見てみましょう。
くもん出版は、対象年齢2歳以上の三角形クレヨンの案内で、初めから握り方を強要しすぎないよう説明しています。[2]形を選ぶことと、最初から鉛筆のように持つことを求めることは、分けて考えられます。
紙が動くときは、クレヨンを替える前に置き方を変えます
クレヨンを動かすたびに紙がずれると、描く途中で紙を戻すことになります。
平らな場所に、一枚を広げます
厚すぎて端が浮く紙や、折り目のある紙より、まずは平らに広げられる紙で試します。細かな枠のある塗り絵でなく、線をはみ出しても気にならない白紙も選択肢です。
机に置くなら、体から遠い奥へ置きすぎず、手を伸ばしたところに紙があるようにします。紙の向きは縦に固定せず、腕を動かす方向に合わせて横向きや少し斜めも試せます。姿勢が崩れるほど遠くへ手を伸ばしていたら、紙を近づけます。
滑るときは、大人が端を支えます
最初は大人が描く場所を邪魔しない端を押さえるだけでもかまいません。紙を押さえる手助けだけで、描き続けられることもあります。テープで留める場合は、机や紙に使えるものを大人が選んで固定し、浮いた端やはがれた切れ端が残らないようにします。子どもがテープをはがして口へ運ぶときは、この固定方法を使わず、大人が紙を支える方法に戻します。
紙を留めるための画びょうや、外れる小さな留め具は使いません。床に紙を置く場合も、人が歩く場所を避け、紙ごと滑らないかを大人が確認します。
色が薄い・すぐ折れるときは、力の入れ方だけを原因にしません
紙を動かしていないのに色がつきにくいときは、大人が同じ紙の端で軽く試し描きします。道具と紙の相性を確かめてから、手助けを考えます。
光沢のある紙では描きにくい製品もあります。使う紙の指定があればそれに従い、指定がない場合は手元の画用紙などで試します。クレヨンにひびや欠けがないかも見ます。破損があるときは使用を止め、メーカーの案内に従います。無理に押しつけさせたり、削ったり加工したりする前に、製品の説明を確認しましょう。
汚れが気になる場合は、水で落とせるタイプも候補になります。ただし、「水で落とせる」は、どこについても落ちるという意味ではありません。サクラクレパスの製品案内にも、拭き取れる面には一部材質を除く条件が示されています。[3]
購入時には、手についた色、衣服、机など、何の汚れについて説明しているかを読み分けます。紙の下を保護し、大切な家具や服にはつけない用意をするほうが、落とす作業を減らせます。
口に運ぶときは、描くことより安全を優先します
「自然素材」「無毒」といった表示があっても、食べてよい画材ではありません。ニュージーランドの環境保護局EPAも、画材は表示どおりの用途で使い、子どもの使用を見守るよう案内しています。[4]
口に運ぶ、かじる、折れたかけらを拾う様子があるときは、いったんクレヨンを片付けます。大人が近くにいることを理由に、対象年齢外の製品を使うこともしません。使い終わったら、本体と破片、巻き紙やテープの切れ端が残っていないかを確認し、道具は子どもの手の届かない場所へ戻します。
初回は、描けた形より「扱いやすかった用意」を一つ見つけましょう。たとえば「紙を支えると手を動かした」「こちらの太さなら持ち直しが少なかった」という見方です。描くことに気が向かない日は終えてかまいません。次に試すときも、持ち方の練習を急がず、紙に色がつくおもしろさから始めてみましょう。
参考情報
- NHS・Bedfordshire and Luton Children’s Health:Getting ready to write
- くもん出版:すくすく さんかくくれよん
- サクラクレパス:水でおとせるクレヨン こげちゃ
- ニュージーランド環境保護局EPA:Crayons, finger paint and kids’ art supplies
情報確認日:2026年10月16日