スプーンなら持てるのに、トングでは物を落としてしまう。そんなときは、「まだ練習が足りない」と考える前に、道具を動かす仕組みを比べてみましょう。
スプーンは、すくった物を載せて運ぶ道具。トングは、先端で物を挟み、閉じる力を保ちながら運ぶ道具です。同じ「物を移す」遊びでも、手がすることは違います。
ここでは、0〜2歳のお子さまのいるご家庭に向けて、道具の選び方と手助けの仕方をご紹介します。0歳から道具遊びを勧めるものではありません。対象年齢と使い方が合うことを前提に、興味を持っている動きから考えてみてください。
スプーンは「載せて保つ」、トングは「挟んで保つ」
スプーンで移すときは、先端を物の下に入れ、すくった面を上へ向けたまま運びます。受け容器の上で傾けると、中身が落ちます。持ち上げることはできても、途中で手首が傾くとこぼれることがあります。
トングでは、先端を開いて物を挟み、運ぶ間は閉じた状態を保ちます。置きたい場所で握る力を緩めると、物が離れます。「つかめたのに途中で落ちる」「置こうとしても離れない」では、難しいところが違います。
どちらが上の段階かではなく、どの動きを試したいかで選びましょう。 スプーンの後には必ずトング、という順番を決める必要はありません。
モンテッソーリ教育を国際的に支える国際モンテッソーリ協会(AMI)は、0〜3歳の環境づくりで、大人が子どもの様子を観察し、その子に合う活動を用意することを説明しています。[1] ここでの道具の比較も、できた数を採点するためではなく、用意を見直す手がかりです。
道具は、手に持ったときと物を移すときの両方を見る
「子ども用」「小さい」という表示だけでは、持ちやすさを決められません。まず対象年齢・用途・注意事項を確認し、欠けや鋭い縁、外れそうな部品がないかを大人が確かめます。[2]
スプーンは柄の長さとすくう部分を見る
柄が長すぎると、手から先端までが離れます。持っている場所は安定していても、先端を容器に入れにくいことがあります。柄の太さだけでなく、握った手から先端までの距離を見てみてください。
すくう部分が大きいと、一度に載る量も変わります。小さければ必ず扱いやすいわけでもなく、移す物に対して浅すぎたり、容器の底へ届かなかったりすることがあります。柄・すくう部分・容器を一組で確かめましょう。
トングは開き幅と閉じる力を見る
先端が大きく開くトングは、小さな手では握りにくいことがあります。ばねが強いと、閉じるだけで力を使い、物を挟んだまま運ぶのが難しくなります。
大人が先に開閉し、指を挟む隙間、尖った先端、外れる留め具がないかも確認します。お子さまが強く握り続けて疲れたり、もう片方の手で無理に閉じたりするなら、回数を増やす前に道具を見直してください。
持てるかだけでなく、動かして、離して、置くところまでを見ます。 ただし、安全上の不安がある物を子どもに試させて確かめることはしません。
移す材料は、つかみやすさより先に安全を確かめる
トングに合いそうだからと、小さなポンポンや豆、ビーズをそろえる必要はありません。消費者の安全に関する行政機関である消費者庁は、小さな玩具や外れた部品による誤飲・窒息への注意を呼びかけています。[2]
大人がそばにいることは、小部品や対象年齢の条件を外してよい理由にはなりません。 柔らかい物でも、口へ入れば危険になり得ます。道具や材料を口に運ぶ、顔へ向ける、振り回す様子があるときは、この活動をやめて片付けてください。
スプーンで試す家庭の例としては、安定した浅い容器の少量の常温水を、隣の空の容器へすくって移す方法があります。大人がすぐ手を添えられる場所で一緒に行い、途中で離れるときや終わったときは水を捨てます。水を少なくしても、子どもだけにはしません。[3]
トングは、その道具と一緒に使うことが想定された材料や使い方案内まで確認して選びます。手元に条件の合う組み合わせがなければ、無理に代用品を探さず、今回は見送ってかまいません。
道具に合う材料を探す前に、その材料を今のお子さまに渡せるかを確認しましょう。
落とす・すくえないときは、難しい動きに合わせて一つ変える
準備ができたら、移す元と受ける容器を近くへ置き、大人が一回だけゆっくり移して見せます。持ち上げる瞬間だけでなく、受け容器へ落とし、道具を置くところまで見せましょう。
うまくいかないときは、次のように手元を分けて見ます。
- スプーンが容器に入らない:容器の口と深さ、柄が縁に当たっていないかを確認する。
- すくえるが運ぶ途中でこぼれる:受け容器を近づけ、一回にすくう量を減らしてみる。
- トングで挟めない:開き幅や閉じる力が合っているかを見直す。先端へ物を押し込んで成功させない。
- トングで挟めるが離せない:受け容器の上で、握る力を緩める動きをもう一度見せる。
- 容器そのものが動く:必要なら大人が容器を支え、子どもが道具を動かす部分を残す。
こぼれた結果より、「すくう・運ぶ・離す」のどこが難しいかを見てみてください。 何度も手を重ねて最後まで動かすより、困っている部分だけ手伝う方法があります。嫌がったり、手を引いたりしたら終わりにしましょう。
教材を選ぶときも、道具と活動内容を一緒に確認する
IMANO MANABI(イマノマナビ)でご用意している、教材・知育玩具を組み合わせたプレイキット「じりつへのまなび(19,20,21ヶ月)」には、スプーンで容器から別の容器へ移す「あけ移し(すくう)」があります。「かんかくのまなび(22,23,24ヶ月)」では、トングを使う「あけ移し(はさむ)」をご紹介しています。[4][5]
これらの商品ページには、誤飲への注意も表示されています。教材名やキットの月齢だけで、付属材料を安全に扱えると判断しないでください。[4][5]
この二つを比べるときも、キットの月齢だけで進む順番を決めず、すくう面を保ちたいのか、挟んで離す動きに関心があるのかを見てみましょう。付属材料の形・大きさや置き先によっても、することは変わります。
キットの月齢表示は、その月齢で完成できるという約束ではありません。 実際に届く教材の対象年齢・注意事項・使い方案内を確認してください。商品ページでは、在庫状況により掲載写真と異なる商品をお届けする場合があることもご案内しています。[4][5]
買い足す前に、「道具のどこが合わないか」を一つ確かめるところからで十分です。 容器を近づけるだけで取り組みやすくなるなら、新しい道具は必要ないかもしれません。条件に合わなければ、今は手で持って置く遊びを楽しむ選択もできます。
参考情報
- 国際モンテッソーリ協会(AMI)「Montessori 0-3」
- 消費者庁「Vol.544 おもちゃなど小さなものを誤飲する事故に注意!」
- 消費者庁「御家庭内での子どもの溺水事故に御注意ください!-入浴後はお風呂の水を抜く、ベビーゲートを設置するなどの対策を-」
- IMANO MANABI「じりつへのまなび(19,20,21ヶ月)」
- IMANO MANABI「かんかくのまなび(22,23,24ヶ月)」
情報確認日:2026年10月16日