出かける時間なのに、靴が見つからない。持っていく物を探す間に、お子さまが玄関で待ちくたびれてしまう。そんなときは、玄関で何をどの順にするかと、物を置く場所を一緒に見直してみましょう。
大人の荷物を先にまとめ、お子さまには持ち物を一つ渡してもらう。靴を履いたら、大人が足元と持ち物を確認して一緒に出る。全部を一人で終えることを目標にせず、参加する部分を小さく決める方法です。
IMANO MANABI(イマノマナビ)では、家庭で試せる工夫として、玄関の準備を順序・置き場所・安全確認に分けてご紹介します。靴を履き始める時期やできる動きは一律に決めず、お子さまの様子に合わせて使える部分を選んでください。
玄関へ行く前に、大人の準備と子どもの役割を決める
まず、鍵や大人のかばん、その日に必要な物を大人がそろえます。お子さまを玄関に一人で待たせて取りに戻る流れを避け、そばで支度を手伝える状態にしておきましょう。
国際モンテッソーリ協会(AMI)の公開記事では、届く位置にある靴や、体の大きさに合う机・椅子など、子どもが日常生活に参加できる環境が紹介されています。[1] 家庭では、何を任せるかを一つ決め、使う物をその動作の近くへ置くところから始められます。
例えば、次のような順番です。これは家庭で試すための一例で、必ずこの通りに進める必要はありません。
- 持ち物をそろえる:お子さまが小さなタオルを一枚、大人に渡す。大人がかばんに入れる。
- 靴を履く:安定して座れる場所へ移り、難しいところは大人が手伝う。
- 確認して出る:大人が靴と持ち物を確かめ、ドアを開けて一緒に出る。
持ち物をそろえてから靴を履くと、靴を履いたあとに室内へ取りに戻る用事を減らせます。声をかけるときも「全部用意して」ではなく、「このタオルを渡してね」と、今することを一つ伝えてみてください。
今日の靴と持ち物に、それぞれ取りやすい場所をつくる
米国モンテッソーリ協会(AMS)は、物に置き場所があり、子どもが使いやすいように整えられた環境を紹介しています。[2] 玄関全体を作り替えなくても、今日使う物だけを決まった場所に出す方法で試せます。
靴は座る場所の近くに一足をそろえる
その日に使う、足に合った靴を大人が用意し、履く向きに一足そろえます。何足も出ていて探しにくいなら、使わない靴をしまいましょう。一足は始め方の例で、どの家庭にも同じ数を求めるものではありません。
靴箱を使う場合は、背伸びやよじ登りをせずに届くか、扉を開けたまま通り道をふさがないかを確かめます。届かない場所から取り出すのは大人が担当してかまいません。 靴箱は取扱説明書に沿って固定するなど転倒防止を行い、扉を動かす際は指が隙間にないか大人が確認します。[3]
持ち物は一つを取り、近くの大人へ渡す
例えば、玄関に近い室内の、無理なく手が届く場所に小さなタオルを一枚置きます。大人がそばで「これをかばんに入れるよ。渡してね」と手を差し出し、受け取って収納します。まだ持って移動するのが難しいなら、その場で渡すだけでも十分です。
靴を履く場所と、持ち物を渡す場所が分かれば、準備のたびに家中を探し回らずに済みます。まずは、使う物を、使う場所の近くへ。かごや棚を買い足す前に、手持ちの物と空いている場所で試してみましょう。
子どもに渡す物は軽く、扱いやすい物に絞ります。水筒を首や肩に掛けて準備させる必要はありません。消費者庁は、転倒時に水筒が体に当たる事故や、ひもの絡まり・引っ掛かりに注意を促しています。[4] この準備例では、水筒や長いひものある荷物は大人がかばんに収めます。ひもを床に垂らさず、子どもが首に掛けて遊べない所で管理してください。
靴は安定して座れる場所で履く
靴を履こうとして片足立ちになったり、靴を引っ張るたびに体が傾いたりするなら、先に座る場所を整えます。普段から安全に座れる、体に合った低い椅子などを使い、大人がすぐそばで手伝いましょう。
椅子は取扱説明書の対象年齢と使い方を確認し、平らな床に置きます。がたつきがないか、座ったときに足が床に着くか、前かがみになっても姿勢を保てるかを見てください。消費者庁も、椅子を平らな床に置き、椅子の上で立ったり遊んだりさせないよう案内しています。[5]
座る場所は玄関の段差の縁や、ドアが動く範囲を避け、床の水や散らばった物も片付けます。靴の操作より先に、座る姿勢と足元を整えましょう。
座る姿勢がまだ安定しないお子さまを、準備のために無理に椅子へ座らせる必要はありません。大人が安全な姿勢で体を支えて履かせます。履き口を広げる、足を入れる、留め具を閉じるといった動作も、難しい部分は手伝ってかまいません。
出発前の確認と、ドアの開閉は大人が担当する
お子さまが靴を履けたら、「最後に見せてね」と声をかけ、大人が確かめます。忘れ物の有無や外へ出る安全まで、一人で判断してもらう必要はありません。
靴と荷物を確かめてから出発する
- 靴:左右が合い、かかとが収まり、留め具や靴ひもが適切に留まっているか。痛がる様子や歩きにくさがないか。
- 荷物:その日に必要な物が入っているか。ひもが床に垂れたり、首や腕に絡んだりする状態になっていないか。
- 移動:大人がお子さまと手をつなぐ、体を支えるなど、必要な手助けをできる状態か。
「自分で準備した」ところまでを大切にしながら、出発の最終確認は大人が引き受けます。足が痛そうなら、そのまま出発せず靴や足の状態を確かめてください。
ドアを開けるところから、そばを離れない
ドアの開閉は大人が行い、子どもの手や体が扉や隙間に近づいていないか、毎回確認します。消費者庁は、ドアのちょうつがい側などの小さな隙間でも指を挟む危険を示しています。[6] ドアを開けたまま荷物を取りに戻ったり、子どもだけ先に外で待たせたりしないでください。
外へ出たら、歩くお子さまと手をつなぎ、目を離さないようにします。道路に面した玄関だけでなく、駐車場でも同じです。警察庁も、幼児を一人歩きさせず、家の外では手をつなぎ、駐車場など車道以外にも注意するよう呼びかけています。[7] 荷物を持つ役割は室内で終え、外では安全に移動できることを優先しましょう。
急ぐ日は、任せる部分を減らしてよい
時間がない朝は、「タオルを渡してね。靴は手伝うよ」と役割を小さくします。タオルを渡すことも難しい日は、大人が準備を引き受けてかまいません。急ぐ日は参加する部分を減らし、安全確認はいつも通りに行います。
AMIの家庭向けサイト「Aid to Life」も、疲れていたり取り組みたがらなかったりするときは手伝うこと、時間に余裕があるときに動きを分けて見せることを勧めています。[8] 前日にできたことを、その日も必ず任せなくて大丈夫です。
うまく進まなかったら、次の外出前に一つだけ見直してみましょう。靴を探したなら置き場所を決める。履くときにふらついたなら座る場所を変える。荷物を持ったまま困っていたなら、渡す先を近くにする。家族の予定とお子さまの様子に合わせて、準備の流れを少しずつ整えていきましょう。
参考情報
- Association Montessori Internationale(国際モンテッソーリ協会)「From Attachment to Independence: The Invisible Journey of Personality Construction from Birth to Three」
- American Montessori Society(米国モンテッソーリ協会)「The Importance of a Simple Environment」
- こども家庭庁「挟む・切る・その他の事故」
- 消費者庁「Vol.635 水筒を持ち歩くときの転倒事故に注意!」
- 消費者庁「子どもの転落事故に注意!」
- 消費者庁「Vol.543 ドアや窓の開閉時の指挟み事故に注意しましょう!」
- 警察庁「こどもの交通事故防止対策の要点」
- Aid to Life「着替えに関するよくある質問」
情報確認日:2026年10月16日