絵本のコップを指さしたり、家にあるコップを持ってきたり。そんなときは、お子さまが見ている物に「コップだね」と名前を添えてみてください。声で返さなくても、同じ物を一緒に見ながらやり取りできます。
まずは、身近な物を一つと、それが描かれた絵本の一場面から。名前を伝えたら少し待ち、見る、触れる、声を出すといった様子に応じて続けます。全部のページを読んだり、名前を答えてもらったりするところまで進める必要はありません。
この記事では、絵と実物の選び方、会話の例、ミニチュアを使う前の確認を紹介します。会話は家庭で試すために作った例で、実際の利用者の記録ではありません。
絵本と実物は 子どもが気にしている物から選ぶ
家にある絵本の中で、お子さまが目を向けたり指さしたりする物を探します。食器、靴、帽子など、暮らしの中でも見かける物なら、「さっき使ったね」と日常の場面に話をつなげられます。
国際モンテッソーリ協会(AMI)の家庭向けサイト「Aid to Life」は、身近な物や出来事を描いた本を選ぶこと、子どもが見たり手に取ったりしている物の名前を伝えることを勧めています。[1] また、絵本の内容と子ども自身の経験を結びつけて話す例も紹介しています。[2]
家庭で試すなら、例えば、ふだん使う割れにくい子ども用のコップと、コップの絵があるページを用意します。清潔で破損がないか、手に持っても危険がないかを大人が確かめてから、一緒に座れる場所に置きましょう。
- 絵本は、話題にしたい物が見つけやすいページを選ぶ
- 実物は、一度にたくさん並べず、一つから試す
- 刃物、熱い物、割れる物、小さな部品が外れる物は、この活動に使わない
絵と同じ物が家になければ、無理に買い足さなくてもかまいません。その日は絵本だけを見たり、生活の中で見つけたときに名前を伝えたりできます。絵本を毎回、物を探す活動に変える必要もありません。
絵と実物の色や形が違っても そのまま伝える
絵本には赤いコップ、家には青いコップがあることもあります。「こっちは赤いコップ。いつものコップは青いね」と、それぞれを指して伝えてみましょう。見た目が違うところも、会話にできます。

ここで扱う実物は、生活で使う物そのものです。絵はそれを平面に描いたもの、ミニチュアやレプリカは形をかたどった模型です。例えば、動物の模型は実際の動物とは大きさも動きも違います。模型を手に取る経験と、本物を見たり触れたりする経験を同じものとして説明しないようにします。
どの絵を見ているか分かりにくいときは、大人が一つを指して「このコップだね」と短く伝えます。比べることに関心が向かない日は、物を片付けて絵本を読むだけに戻してもよいでしょう。
名前を添えたら 子どもの反応を待つ
やり取りは、大人の質問から始めなくても大丈夫です。子どもが目を向けた物の名前を伝えたら、次の言葉を重ねる前に少し待ちます。Aid to Lifeも、子どもの声や伝えようとする様子に応じること、話し終わるまで待つことを大切にしています。[1]
コップの絵を一緒に見ているとき
- 子どもが絵を指したら、大人は「コップだね」と応じる
- 実物を見せながら「いつものコップ、ここにあるね」と伝える
- 子どもが手に取ったら「コップを持ったね」と、今していることを言葉にする
- 声が出たり絵をもう一度指したりしたら、その様子に応じて会話を続ける
返事がないときは、「コップって言ってみて」と繰り返さず、一緒に見る時間にしてみましょう。すぐに次の質問を出す必要はありません。言えるかどうかだけを区切りにせず、子どもが見ている物やしていることに応じるのが、ここでの提案です。
もちろん、「これは何?」という質問をしてはいけないわけではありません。子どもが名前を言って楽しんでいれば、そのやり取りを続けられます。答えを待つたびに困った様子になる、顔をそむけるなどのときは、大人が名前を添える会話に戻してみてください。
違う名前を言ったときも、言い直せるまで繰り返す必要はありません。例えば、コップを「おさら」と言ったら、「コップだね。お水を飲むときに使うね」と普段の言葉で返せます。Aid to Lifeは、言い間違いを笑いの種にせず、大人が自然な言い方で会話を続ける方法を紹介しています。[1]
ページをめくるだけの日も 一場面で終えてよい
お子さまが本をめくることに夢中なら、名前のやり取りへ急いで戻さなくてもかまいません。手にしている物を置く、別のページへ進む、本を閉じるといった動きを見ながら、続けるかどうかを考えます。
「あと一つ答えたら終わり」にせず、「今日はここまでにしようか」と一場面で終えられます。次に同じページを開いたときや、生活の中でその物を使うときに、また言葉を添えてみてください。
振り返るなら、「何個言えたか」より、次に一緒に楽しめそうな場面を思い出してみましょう。例えば「コップのページを何度も開いた」「靴の絵を見て玄関を指した」などです。反応から、言葉の理解や発達の状態を決めつけることはできません。
ミニチュアを使うときは 対象年齢と部品を確かめる
小さな模型をそろえなくても、絵本と身近な物でやり取りはできます。ミニチュアを使いたい場合は、見た目の分かりやすさと別に、子どもが扱える製品かどうかを確認しましょう。
消費者庁は、おもちゃの対象年齢を守ること、渡す前に注意事項や破損を確認すること、小さな部品を子どもの手が届かない場所に保管することを呼びかけています。[3] 保護者がそばにいても、対象年齢に満たない製品を使う理由にはなりません。
- 対象年齢と使用上の注意が分からない模型は、確認できるまで使わない
- 口に入る小さな物や、外れそうな部品がある物は用意しない
- 食べ物に似た模型を口へ運ぼうとしたら止めて、手の届かない場所に片付ける
- 年上のきょうだいの小さな模型を混ぜず、終わったら部品を確認して片付ける
口に入れないよう何度も止める状況なら、その模型を使う活動はいったんやめます。模型を出さずに絵本を一緒に見るなど、その日に取り組める形に切り替えましょう。
名前に触れる教材の例
私たちIMANO MANABI(イマノマナビ)は、教材・知育玩具を組み合わせたプレイキットを定額レンタルでお届けしています。「いろのまなび」に含まれる「ものと名前」は、野菜のレプリカを手に取り、大人が名前をゆっくり伝える教材です。[4]
「ものと名前」では、容器からレプリカを一つ取り出し、名前を伝えて並べます。子どもが見たり触れたりする時間を取り、興味を示さないときは無理に続けません。保護者と一緒に使い、口に入れないよう注意が必要です。食事やおままごと用として使うものではありません。
絵本と家にある物で楽しめているなら、この活動のために教材を追加する必要はありません。複数の教材と使い方を確かめる資料も一緒に利用したいときは、プレイキットの内容をご覧ください。届く品は在庫状況により掲載写真と異なる場合があるため、実際の製品の対象年齢と注意事項も確認してください。[4]
活動の始め方や大人の手助けをもう少し知りたい方は、「おうちモンテッソーリは何から始める?専用教具の前にできること」も参考にしてください。
今日試すなら、お気に入りの絵本を一冊開いて、目を向けた物の名前を一つ添えるところから。お子さまが返す声やしぐさに合わせて、短いやり取りを楽しんでみてください。
参考情報
- 国際モンテッソーリ協会 Aid to Life「Communication: Ten Tips」
- 国際モンテッソーリ協会 Aid to Life「Reading Stories and Singing Songs」
- 消費者庁「Vol.677 こども向けの製品に関する新しい制度、「子供PSCマーク」がはじまりました!」
- IMANO MANABI「いろのまなび(13,14,15ヶ月)」
情報確認日:2026年10月14日