「ごはんだよ」と呼んでも、遊びが終わらない。出かける時間が迫るほど、何度も声をかけてしまうことがあります。そんなときは、終わりを知らせる合図と、次にすることの準備を一緒に考えてみましょう。
遊びを終える前に次の準備を整え、終わりを短く予告し、移るところは大人も手伝う。まずは、この流れを一つの場面で試してみてください。乳幼児の切り替えには個人差があり、見慣れた流れがあっても大人の支えを必要とすることがあります。[1]
この記事では、主に0〜3歳の子どもが、遊びから食事・着替え・外出へ移るときの工夫を紹介します。決まった言葉で必ず切り替えられるという方法ではありません。お子さまの様子と、その日の予定に合わせて使える部分を選んでください。
「おしまい」の前に、次の場所と道具を用意する
遊びを終えたのに、食事がまだできていない。玄関へ来たあとで、大人が服や荷物を探し始める。そうした待ち時間も、見直せるところです。米国の乳幼児支援プログラムHead Startは、食事や次の活動を待つ時間を短くするため、移る前に準備しておくことを勧めています。[2]
家庭では、まず「呼んだあとに、何を待ってもらうことになるか」を確かめます。食事なら手洗いから食卓へ進める状態に、着替えなら着る服を手元に、外出なら大人の荷物を先にまとめておく、といった準備です。子どもを危険のある場所に一人で待たせて準備することは避けてください。
終わるための片付けも小さくできます。戻す場所を空け、大人が残りを引き受けるなら「この一つをかごに戻そう」と伝えます。毎回、部屋全体を片付け終えてからでないと次へ進めない、とする必要はありません。
合図は、今の遊びと次にすることを短くつなぐ
遠くから呼び続ける前に、近くへ行き、お子さまが声に気づいているかを確かめましょう。Head Startの案内でも、子どもの高さに合わせて注意を向けてもらい、活動が変わる前に知らせる方法が紹介されています。[2]
乳児には、抱き上げる前の声と動きで知らせる
まだ言葉で予定をやり取りしない乳児には、タイマーの意味を理解して終えることを求めず、大人がこれからすることを穏やかに伝えます。例えば、そばで「おむつを替えるね。抱っこするよ」と声をかけてから、体を支えて移ります。Head Startも、乳児には落ち着いた声で今することと次にすることを伝えるよう案内しています。[1][2]
返事や自分で片付ける動作が出るまで待つ必要はありません。顔や体の動きを見ながら、大人が移る過程を支えます。空腹や眠気などの様子に合わせることも大切にし、家族の時計だけで一律に区切らないようにします。[2]
言葉や合図が分かってきたら、終わる場面を具体的にする
「あと少し」だけではなく、「この絵本を読み終わったら、手を洗おう」のように、今していることと次を結びます。長い遊びを全部完成させる約束にせず、実際に待てる範囲を選びましょう。予告と、次の行動を知らせることは、Head Startでも紹介されている支援です。[1][2]
いつもの短い歌やタイマーを合図にする方法もあります。ただし、「何歳なら何分が分かる」と一律に決めたり、鳴ったら一人で動けるはずと考えたりしなくてかまいません。合図のあとも「おしまいだね。手を洗いに行こう」と大人がつなぎます。音を嫌がるなら使わず、声や実物を見せる方法を選んでください。
終えることが決まっているときは、選べる部分を分ける
2〜3歳頃など、言葉で選択肢をやり取りできる子どもには、「何をするか」を短く伝えたうえで、選べる部分を示す方法があります。米国疾病予防管理センター(CDC)の2〜4歳向け保護者資料では、具体的な一つの指示、身振り、限られた選択肢が紹介されています。[3]
例えば、出かけることが決まっているなら「もう遊びをやめる?」と尋ねる代わりに、「出かける時間だよ。服を着よう」と伝えます。そのうえで「この服と、こちらの服、どちらにする?」と、どちらを選んでも着られる二つを見せます。終えるかどうかと、本人が選べることを分ける提案です。[3]
選ぶこと自体が負担になりそうなら、二択を足さずに一つ見せてもかまいません。選べないときは「今日はこれを用意するね。着るところを手伝うよ」と次へ進めます。乳児や、まだ選択肢の意味が伝わりにくい子どもに、同じやり取りを求める必要はありません。
食事・着替え・外出に移るときの具体例
以下は、家庭での流れを考えるための例です。どの例も、お子さまができる動きだけを残し、難しいところは大人が手伝ってください。
食事へ移る:手洗いへ一緒に向かう
食卓を整えてから、遊びのそばで「この絵本を読み終えたら、手を洗ってごはんにしよう」と予告します。読み終えたら、本を戻す場所を示し、「手を洗いに行こう」と一緒に向かいます。片付けを全部任せて待つより、残りは大人が引き受ける形にしてもかまいません。まだ一人で移れないお子さまは、大人が支えて連れていきます。
着替えへ移る:着る物を先に見せる
着る服を手元に用意し、「おもちゃをこのかごに戻したら、着替えよう」と伝えます。移ってからは「全部着替えて」ではなく、服を見せて「ここに腕を通そう」と一つずつ。着る順番を選べるなら、上の服とズボンのどちらからにするか尋ねる方法もあります。札幌市の子育て案内でも、着替えの順番を選ぶ例と、難しい部分を大人が手伝う例が紹介されています。[4]
外出へ移る:玄関で長く待たなくてよい順にする
大人の荷物を整えてから、「今持っている積み木を置いたら、靴を履いて出かけよう」と知らせます。靴を履く場所へ一緒に移り、必要なところを手伝います。遊びの続きを残せるなら、通り道をふさがず、下の子どもが危険な部品に触れない場所かを大人が確認します。残せない場合は「ここは使うので戻すね」と伝え、「あとで必ず続きをしよう」と守れるか分からない約束を増やさなくて大丈夫です。
泣いたときは、気持ちと今必要な行動を一緒に扱う
予告したのに泣くときも、伝え方が失敗したと決めなくてかまいません。Head Startは、見通しがあっても切り替えが難しいこと、空腹や疲れ、手順の多さが関係する場合があることを説明しています。[1]
まず「まだ遊びたかったね」と短く気持ちを受け止めます。言葉を重ねて説得し続けるより、そばで必要な手助けを考えましょう。札幌市の案内も、子どもの気持ちを受け止める関わりを紹介しています。[4]
- 少し待てるとき:安全と予定を確かめ、今している一つの動作が終わるところまで待つなど、区切りを調整します。「あと一回」を何度も追加するより、何をしたら移るかを短く伝え直します。
- 眠そう、空腹そうなとき:片付けや選択を増やさず、大人が準備と移動を引き受けます。食事や休息など、そのとき必要な世話へつなげてください。
- 出発を遅らせられないとき:選べない「まだ遊ぶ」を提案せず、「時間なので出かけるよ。支度を手伝うね」と伝え、必要な手助けで進めます。道路へ出そうになるなど危険がある場合は、予告や納得を待たず、安全を確保します。
毎回落ち着いた声を出せる日ばかりではありません。急いだ日は、あとで次に用意しておく物を一つ決めるくらいで十分です。困りごとが続き、親子の負担が大きいと感じるなら、園や地域の子育て相談で普段の様子を共有する方法もあります。
次の機会は、声かけか準備のどちらか一つを変える
振り返るなら、「泣かずに終われたか」だけでなく、どこで困ったかを見てみましょう。呼んだときに気づいていなかったのか、片付けが難しかったのか、移ったあとに待ち時間が長かったのか。それに合わせて、近くで知らせる、戻す物を一つにする、次の準備を先にする、のどれかを試せます。
戻す場所や容器を整えたいときは、IMANO MANABI(イマノマナビ)の「おもちゃの数と置き方を見直す記事」で、片付ける動作を短くする例を紹介しています。合図のために新しい道具を買い足さず、家にある物と、いつもの声かけから始めてもかまいません。
今日一つ試すなら、終わりを知らせる前に、次に使う物を用意するところから。お子さまが自分でできる部分と、大人が支える部分を、その日の様子に合わせて決めてみてください。
参考情報
- Head Start「Supporting Transitions Both Big and Small」
- Head Start「Support Transitions for Infants and Toddlers」
- CDC「Tips for Giving Directions」
- 札幌市「いやだいやだのお年頃」
情報確認日:2026年10月13日