紙を両手で引っ張っても、くしゃくしゃになるだけ。大人が渡した端を、すぐ口へ持っていく。「紙をちぎる遊びをしてみたいけれど、どう始めればいい?」というときは、まず安全に扱えるかと、紙の破れやすさを確認しましょう。
紙ちぎりは、作品を完成させなくても楽しめる遊びです。ただし、紙や破片を口に入れようとする間は、手渡して行う紙ちぎりを見送ります。0〜2歳のどの子にも、今すぐ勧められる活動ではありません。
始める前に 口に運ぶ様子がないか確かめる
消費者の安全を守る行政機関である消費者庁は、小さな物が唾液などと混ざって気道をふさぐ危険を伝えています。紙も遊んでいる途中で小さくなるため、最初に大きな一枚を渡せば安心、とは考えないようにします。[1]
大人がすぐに手を添えられる距離で、子どもの手元と口元を見られるときに行います。口へ運ぼうとしたら、紙を手元から離して遊びを中断します。大人が何度も止めながら続けるより、その日は見送るほうがよい場面です。
まだ物を口で確かめる様子が多い時期は、対象年齢や使用方法に合う玩具で遊びましょう。紙の代わりとして、包装フィルムやビニール袋を手渡すことはしません。きょうだいの紙遊びを見る場合も、破片が届かない場所を確保します。
紙は一枚ずつ 破れやすいものを選ぶ
最初は、清潔な薄手の紙を大人が実際に破って確かめます。硬いカード、厚い包装紙、表面にフィルムのある紙は、最初の紙ちぎりには使わないようにしましょう。ホチキス針やテープ、付属の小物が残っていないかも確認します。
紙の端で指を切ることもあるため、硬く鋭い縁があるものは避けます。すでに細かく裂けている紙や、すぐぼろぼろになる紙も、破片を管理しにくくなります。柔らかければ何でもよいとせず、大人が扱いやすさを見て選びましょう。
机や床には紙を一枚だけ出し、近くに回収用の浅い容器を置きます。たくさんの紙を広げるより、今使う紙と、ちぎれた紙を分けると、手元と破片の行き先を見守りやすくなります。
破片を片づける袋は子どもの手元に置きません。遊びの範囲を広げすぎず、大人が全部を確認できる量で始めてください。紙の大きさを数値で決めても、破れ方によって安全性は変わります。
破れないときは 紙の端を少し裂いて見せる
大人の手元が見える位置で 紙をゆっくり裂いて見せる
大人が紙の縁の近くを両手で持ち、片方を手前、もう片方を向こうへ動かすように、ゆっくり裂いてみます。両側へ強く引っ張るだけでは破れにくい場合があります。言葉を重ねるより、紙と手の動きを見せてから渡しましょう。
子どもが試しても裂けないときは、大人が端に小さな裂け目をつくります。その両脇を持ちやすいように差し出し、続きを子どもが動かせるか待ちます。はさみを子どもの手元へ出さず、ここでは手で準備できる範囲にします。
紙全体を握り込んでいるときは、握り方を一度に直そうとせず、大人が別の紙の端をつまんで見せます。子どもが持ち直そうとしたら待ち、難しければ、持てる部分を残した状態で紙を支えます。
紙を支えるだけの手助けもできる
一方の手が離れてしまうなら、大人が紙の片側を持ち、子どもが反対側を動かす方法もあります。子どもの手を握って引っ張るより、紙が逃げないように支えることで手助けしてみましょう。
英国の公的医療制度NHSの子ども向け作業療法資料にも、両手で紙を破る活動が紹介されています。作業療法は、遊びや生活動作への参加を支える専門的な支援です。[2] 家庭では指の形を正すことを急がず、持って動かす様子を見守ります。
紙が丸まったり しわになったりする様子も楽しむ
紙が裂けずに丸まったら、「くしゃっとなったね」と見てみます。少しだけ裂けたら、できた切れ目を一緒に眺めてもよいでしょう。長くきれいにちぎることや、毎回同じ形にすることを、最初の目標にしなくてもかまいません。
こども家庭庁は、子どもや家庭に関する政策を担う行政機関です。同庁が掲載する『保育所保育指針解説』では、1歳以上3歳未満児について、紙などさまざまな素材に触れ、その感触を楽しむ経験を扱っています。[3]
家庭でも「今どんな音がした?」「何の形?」と答えを求め続けるより、大人が「びりっと聞こえたね」「細くなったね」と、起きた変化に短い言葉を添えてみてください。子どもがもう一度触れようとしたら、その動きを待ちます。
音を嫌がる、手を引く、顔を背けるときは止めます。「慣れさせよう」と大きな音で続ける必要はありません。破れないときだけでなく、今は触りたくなさそうなときにも、終える選択があります。
ちぎれた紙は 細かくする前に容器へ戻す
ちぎるたびに紙が小さくなります。大人は破片をそのまま積み上げず、手の届かない回収場所へ移します。大きさを競ったり、できる限り細かく裂いたりする遊びにはしないようにしましょう。
子どもが片づけに興味を示したら、大人が確認した紙を一緒に浅い容器へ戻してもかまいません。口へ運ぶ様子が出た場合は、子どもに回収を任せず、大人が片づけます。紙を空中へまいたり、顔にのせたりする遊びも避けます。
終わるときは、机や床だけでなく、服や足元、家具の下にも破片がないか確認します。小さいきょうだいやペットが後から近づく場所は特に見直しましょう。破片をどう回収するかまで、遊ぶ前に決めておきましょう。
次に試すなら 紙の向きや支え方を一つ変える
続けて楽しめそうなら、次回は紙の向きを変える、端に裂け目をつくる、大人が片側だけ支える、といった工夫の中から一つ選びます。紙を厚くすることや、難しい形を作ることを急ぐ必要はありません。
うまく裂けなかった場合も、「指の力が足りない」と決める前に、大人が同じ紙で試してみてください。紙の種類や、持つ位置で扱いやすさは変わります。別の紙でも嫌がるなら、その日は好きな遊びへ戻してよいでしょう。
紙に線を描くことにも関心が向いたら、初めてのお絵描き道具の記事で、クレヨンと紙の用意も確認できます。
IMANO MANABI(イマノマナビ)からの提案は、ちぎれた量より、どんな手助けで自分から触れたかを覚えておくことです。「端を少し裂くと続きを動かせた」くらいの気づきで十分。口に運ばず安全に楽しめるタイミングで、短く試してみてください。
参考情報
- 消費者庁「Vol.544 おもちゃなど小さなものを誤飲する事故に注意!」
- Gloucestershire Health and Care NHS Foundation Trust「Children’s Occupational Therapy」
- こども家庭庁(厚生労働省作成)「保育所保育指針解説(平成30年度〜)」
情報確認日:2026年10月19日





