児童館や子育て支援センターで、ほかの子が使っている玩具へお子さまが手を伸ばす。反対に、自分が使っていた物を取られて泣き出す。初めて会う親子の前では、大人も「どう声をかければよいのだろう」と迷うことがあります。
まずは、けがにつながる動きを止め、今だれが何を使っていたかを確かめましょう。そのうえで、お子さまへの短い声かけと、相手の保護者や職員への相談を分けて考えます。0〜2歳の親子で共有の玩具を使う場面に絞って、ご紹介します。
最初に 施設の遊び方とお子さまの様子を確かめる
初めての場所では、受付で乳幼児が遊べる範囲、玩具を使える年齢、順番や交代の決まりを尋ねてみましょう。口に入れた玩具の返却先や、困ったときに声をかける職員の場所も分かると、その場で判断を抱え込まずに済みます。
共有の玩具にも、順番に使う物と、複数人で使うことを想定した物があります。「みんなの物だから、今すぐ渡す」「先に触ったから、いつまでも使える」と一律には決めず、施設の案内と実際の遊びの様子を確認します。
米国の公衆衛生機関である米国疾病予防管理センター(CDC)は、2歳の子どもについて、互いのそばで遊ぶ一方、分け合いや問題の解決には大人の助けが必要だと説明しています。[1] 会ったばかりの子とのやり取りを、お子さまだけに任せなくて大丈夫です。
大人は手元が見える近さにいて、使っている様子と施設の決まりを確かめてから関わります。0歳のお子さまなら、保護者とその場を眺めたり、年齢に合う場所で過ごしたりするところからでかまいません。
ほかの子が使っている玩具へ手を伸ばしたら 使っていることを伝える
たとえば、ほかの子が走らせている車をつかもうとしたら、そばへ寄り、「この車は今、使っているね」と短く伝えます。手の動きから「貸してほしい」のか、触って確かめたいのかは分からないこともあります。「欲しかったんだね」と決めつけず、まず見えた状況を言葉にします。
自分の子に「貸して」と繰り返し言わせたり、言えたことを理由に渡すよう求めたりしません。空いている玩具を一緒に探す、少し離れて動く様子を見るなど、その場でできる過ごし方を大人が示します。
相手の保護者には 一言で状況を共有する
相手の保護者が近くにいれば、「使っているところに手が伸びました。こちらで一緒に見ていますね」と伝える方法があります。「次に必ず貸してください」と約束を取りつけなくても、今どう関わるかが伝われば十分です。
施設で交代の決まりがある場合は、職員にも確認して案内に沿います。お子さまには「合図が出たら交代しよう」と短く伝え、気持ちが追いつかないときはそばで支えます。貸し借りの言葉を言えたことと、相手が今渡せることは分けて考えましょう。
もう取ってしまったときは 引っ張り合いを先に止める
二人が同じ玩具を引っ張っているときは、転倒やぶつかる危険がないよう大人が間に入ります。大きな声でどちらが悪いかを決める前に、手や体が傷つかないよう支え、必要なら玩具から距離を取れるようにします。
大阪府河内長野市の子育て相談窓口である「子ども・子育て総合センターあいっく」は、玩具の取り合いでは保護者が間に入り、自分の子にだけ我慢を求めず、双方の思いを受け止めることを勧めています。[2]
自分の子が、ほかの子の使っていた物を取ったと分かる場合は、「今はあちらの子が使っていたね。戻そう」と伝え、相手の保護者と一緒に戻し方を整えます。握り込んで離せないときに強く引き抜かず、職員にも助けを求めてください。
取る前の様子を見ていなければ、想像で「うちの子が先」「相手が取った」と決めません。見ていた保護者や職員に確認します。まず安全を確保し、分かる事実から玩具の扱いを決めます。
自分の子が使っていた玩具を取られたら 譲らせる前に様子を見る
お子さまが玩具を見つめたまま泣いていたら、「使っていた車があちらに行ったね」と状況を伝え、そばに座ります。相手への遠慮からすぐに「貸してあげて」と言わず、そのまま遊びを続けたかったのか、別の物へ向かっているのかを見てみましょう。
相手の保護者には、「まだ使っていたようなので、一度戻して相談してもよいですか」と短く尋ねる方法があります。保護者が近くに見当たらないときは、ほかの子を一人で問い詰めず、職員へ声をかけます。
譲ることも 取り戻すことも急がなくてよい
すでに別の遊びを始めているなら、大人が「取られたままではだめ」と呼び戻す必要はありません。反対に、続けたくて困っているなら、その様子を相手の保護者へ伝えてかまいません。大人同士のやり取りと合わせて、お子さまが今どう過ごしたいかも確かめます。
共有の玩具の交代時刻など、施設の決まりに沿って切り替える必要がある場面もあります。そのときも「決まりだから泣かないで」と求めず、気持ちが落ち着くまで近くで付き添い、別の場所へ一緒に移る方法を選べます。
たたいたり押したりしたときは けがの確認と保護者への連絡を先に
たたく・押す動きが出たら、大人が止め、二人を安全に離します。「たたくと痛いよ。止めるね」と短く伝えます。何を言わせるかを考える前に、痛がっていないか、けががないかを確かめましょう。
自分の子が相手に手を出した場合は、保護者が「今、たたいてしまいました。けがはありませんか」など、起きたことに合わせて相手の保護者に確認し、必要に応じて職員を呼びます。子どもが「ごめんなさい」と言うまで対応を待つ必要はありません。
謝罪の言葉を無理に言わせたり、泣いている相手へ抱きつかせたりして、その場を終わらせようとしなくて大丈夫です。謝罪を言わせるより先に、安全とけがの確認、大人同士の連絡を行います。相手の子の体にも、必要なく触れないようにしましょう。
話が食い違う、同じことが続く、近づくのが怖いと感じる場合は、当事者だけで解決しようとせず職員に相談します。利用場所を変える、いったん帰るなど、安全に過ごすための選択を優先してください。
迷った場面は職員に伝え 次の利用方法を一つ相談する
相談するときは、「うちの子は乱暴で」など性格の説明より、「車を二人で引っ張りました」「同じ玩具に何度も手が伸びます」と起きたことを伝えると、その場の助けを頼みやすくなります。
乳幼児の親子の遊び場である福岡市「子どもプラザ」の案内でも、親子で遊べるだけでなく、スタッフへ気になることを相談できる場として紹介されています。[3] お近くの施設でも、どんな相談ができるか受付で尋ねてみてください。
「乳幼児が落ち着いて遊びやすい時間はありますか」「この玩具の交代はどうしていますか」と、次に役立つことを一つ聞いてみましょう。短時間で帰った日も、次は時間や遊ぶ場所を変えて試せます。施設での一場面だけで、お子さまの性格や育て方を評価しないでください。
家庭で年齢の違うきょうだいが遊ぶ場合の準備は、「年齢の違うきょうだいが一緒に遊ぶとき おもちゃの分け方と置き場所」で、共用する物と分ける物の考え方をご紹介しています。
IMANO MANABI(イマノマナビ)では、共有の場で迷ったときの関わり方として、安全を確かめ、見えた状況を短く伝え、必要な助けを頼むことをご提案します。毎回きれいに貸し借りを終えることより、大人がそばで調整しながら過ごせることを大切にしてみましょう。
参考情報
- 米国疾病予防管理センター(CDC)「Milestones by 2 Years」
- 河内長野市 子ども・子育て総合センターあいっく「お友達とおもちゃの取り合いをして、うまく遊べず、すぐに手が出てしまいます。」
- 福岡市「子どもプラザ」
情報確認日:2026年10月19日





